2017年07月
会社に居るな、世の中に居ろ
カルチャーコンビニエンスクラブ(CCC)と言えばレンタルビデオ店大手の「TSUTAYA」やTポイントカードを
生み出した会社だということは知っている人が多いと思います。
その創業者で現社長の増田宗昭氏が社員だけに語っているブログが「増田のブログ」というタイトルで書籍になって発売されています。
その中身を読んでいくと、ほとんどが、自身が思っていることの語り、ぼやき、自分への言い聞かせ、社員へのメッセージ、、、、つまり「独り言」です。
しかしこの独り言の言葉に重みがあるのは、今から約35年前枚方の駅前のレンタルビデオ屋を開業してから現在に至るまでの
事業家としての軌跡からであろうと読みながら思いました。
「出来ないことにチャレンジした人は時間が経つと出来るようになって成長するけど、
出来ることばかりやっている人は、年を重ねても、出来る範囲が広がらない。
人の成長は、会社の成長とは関係なく、その人が、出来ないことにチャレンジするという覚悟の大きさに比例すると思う」
その上で、自身の出した経営に対する答えは
「経営とは失敗の許容」・・・・・・
私は到底、この失敗の許容量は少ない!というか「経営に失敗は許されない!」そう思っていましただけに私の何倍も大きな、
広く、深い失敗を重ねてきた人の言葉は重い!
その許容量が大きいからこそ
「会社の規模は社員一人ひとりの夢の総和でしかない」
と言い切れてしまうわけです。
ここに「夢の」という形容詞が肝心要なキーワードです。
「会社は人が全て」というのは経営者に限らず、評論家から社会人新人までが口にする常套句ですが、私はこの「夢の持つ人」が全てだと思うのです。
なので、会社は「夢のある会社」でないといけません
なので、会社は、夢の持てる人に溢れる状態にするためには、出来ないことにチャレンジし続けると同時に「失敗の許容」を
大きくしなくてはいけないのだと改めて思いました。
「無我夢中」という誰もが知る四文字熟語がありますが、これ
「夢の中に居たら我(エゴ)がなくなる」
すなわち、人は誰しもが自分中心で生きているけど、何か人と力をあわせて「夢」を達成しようと思えば自分のエゴはコントロール
できるという意味だと増田氏も誰かから教わったそうです。
増田社長は、「世界一の企画会社になる」
これがまだ貸しレコード屋を始めた頃からの夢だったそうです。
貸しレコードからレンタルビデオ屋、、、、と「企画会社」。。。。どこかつながりにくい話です。
しかし常に、「ライフスタイル」という分野に志し、それを具現化していくための過程において、そのコンテンツ(道具)が、
レコードであったり、ビデオであったり、今では本であったりカフェだったり、Tカードだったりするのではないかと思います。
その過程で「我(エゴ)をなくし」夢を共有できる仲間を増やしていったのかもしれません。
ライフスタイルビジネス、すなわち「生活提案」という切り口は、決して「供給力の強化」ではうまくいきません、、、、
つまり必需品を製造してドンドン売りつけていくという戦法が全く通用しません
「需要を創造する」・・・・こんな家住みたい、こんな生き方をしたい、こんなところに行きたい、、、というWANTS(ウオンツ)を生み出すことが重要です
人はNEEDS(ニーズ=必要なもの)は声に出来ますが、案外、WANTS(=欲しいもの)は出てきません!
ましてや、これだけ欲しいモノが、いつでも、どこでも、誰もが手に入るわけです、、、
だったら「需要を創る」しかありません!
だから、CCCの目指すところは「企画会社」なのです、ビデオ屋さんでも本屋さんでもありません。
この画像は昨年開業した枚方Tサイトの店内です。
このどうみても人の手の届かない場所におかれている本、ないしはこのレイアウトは意味があるのでしょうか?
ここを「本を売る店」だと目的化すると無意味どころか、無駄、非効率極まりないでしょう。
しかし「企画脳」でマインドセットして考えてみたらどう思われますでしょうか?
需要は買い手(消費者)からは掘り起こされません!
(少なくても消費者は、本屋さんに対して手の届かないところに本を置いて欲しいなどとは絶対に言わないでしょう!)
これだけモノに溢れている選択肢の多い消費者は常に受身です、待ちの姿勢で向かってくるもの品定めするかのようです。
だから、売り手が「買うコスト以上の価値」を生み出せるかが肝要です。
その価値と支払ったコストとの差が大きければ大きいほど喜ばれ、それを売ってくれた人は感謝される、、、、当たり前の話です。
だから、「売り手」は「営業マン」ではいけません「企画マン」であるべきです。
来てください!買ってください!と懇願するのでなく
「来ないと損する!それなんで買わないの?」と思われるくらいの企画をそれこそ企てないとわざわざ来てくれる空間にならないし、
ヒット商品にはなりません
さて、ホロ社は「ホテル運営会社」です
しかし、今期新たな指針を出しました。
「企画強化」です
これは「企画という部門を強化する」のではありません。
「全社で企画脳を強化する」ということです
もっと言えば「ホテル運営会社」でなく「ホテル企画・運営会社」です。
CCC社ほど「企画会社!」(本とかビデオを外されていますが、、、)と言い切れるほどまでにはいたってはおりませんが、ドンドン進化を続けていきたいと考えています
そのためには、増田社長の言葉をそのままお借りしたいのですが
「会社にいるな、世の中にいろ」
という行動規範です
会社の中(つまりわかっている世界の中)にある情報だけなんかでは企画など生まれようはずもありません。
知らない世界に飛び込んで、踏み込んでいくことで企画が生まれます。
世の中に立ってみると、周りが見えてきます、また周りから見た自分も見えてきたりします。
当たり前ですが
欲しいモノがあればお客さんは買います
行きたい店をつくればお客さんはきます
これらをしないで、売上を上げようとか利益を出そうと思っても土台無理な話です!
こんな単純なこともついつい忘れがちになってしまいますが、それも「世の中にいる」ことを強く意識することでわりと
解決してくれるのではないでしょうか?
最後にこの「増田のブログ」で感銘を受けた、同氏の最近の口癖
提供者(売り手など)は適当であろうが、力を抜いていようが、価値があればお客さんは評価をしてくれる、、、
つまり一生懸命とか完璧を目指すとかでなく、適当にやってもいい結果を生み出せるような「実力を蓄える」ことが重要、、、
この何か軽そうな言葉は非常に重いですね。
実力を蓄えてホロ社は「企画会社」に変貌していきたいと願望しています。