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マンスリーレポート

2012年08月

「夢と志」

 

ロンドンオリンピックで数々のメダリストが出ていますが、その多く(少なくても日本人選手)がインタヴューで「周囲の人への感謝」を必ずといっていいほど口にしています!
自身が望んでいた結果(金とか銀とか・・)を出した選手はもちろんですが、望んでいない結果(金目指して銀の選手など)であっても、その言葉を口にしていました!
望んでいない結果に終わった人は、絶対的に、私たち観衆には想像がつかないくらいの悔しさがあって、決して割り切れない思いを持っていたとしても、感謝の言葉が出せるのは、私は思うにはそれは「利他の心」を持つ境地に至っているからなのではないかと思います!
何かに挑戦することは素晴らしいことです! それはスポーツの世界だけではありません、ビジネスにおいても同様です!
それは何かを実現するために、また何かを実現させたい!成功させたい!という気持ちが強い度合があればあるだけ、それはとても素晴らしい姿です!
しかし一方、望む結果が実現出来たり、成功したらよいですが、そうでない場合も多い、いやむしろそのようなサクセスストーリーのような場面のほうが圧倒的に少ないのだと思います
悔しい想いが壮絶であれば、そのような「みなさんのおかげ」という言葉はそんな簡単に出てくるものではないような気がします!
私を含めた凡人たちは、やはり「手柄や功績は自分のおかげ、失敗はだれか(自分でない他人)、もしくは何か(環境など)のせい」になりがちです!
その逆になれば、すなわち「功績は皆のおかげ、失敗は自分のせい」と思える人が多ければ本当に人格者ばかり、素晴らしい民に囲まれた国家となるのかもしれませんし、戦争や勢力争い、抗争なども起こりえないのだと思いますが、話はそんな単純ではありません!
数限られた一流のアスリート(ビジネスマンであっても)は、そのような「自利」というものを超えて「利他」を持ち合わせるようになるのだと思います。
それはなぜなのでしょうか?
プロ野球の鉄人金本選手を評して、元中日ドラゴンズ監督の落合氏が何かの記事で語っていました
「金本の年齢になるとシーズン途中で体力がきつくなって、アッパースイング気味になってくる・・・そりゃ俺だってよくわかる、しんどいのはよくわかる!しかし言ったんだ!プロ野球選手になりたい子供たちはお前のスイングをマネするんだ!それを憧れて、また夢見て、それが正しいと思ってプロを目指す子供たちに対して責任がある選手なんだ!お前は!」と
自分の(バットの)振り方でその人の人生が変わる、つまり自分の生き方(生き様)で、子供たちの夢にも、また将来のプロ野球界に影響を及ぼすということ!!
もはやここまで来ると、「自利」を超越してくるのだと思います!
“その世界を目指す自分”なのでなく“その世界の中の自分、そしてその世界を変えるもしくは拓く自分”
前者の志向であれば「自利」でいいかもしれません、しかし後者になればそこに”社会的責任“がつきます!そこで求められるのは「利他」なのだと思います!
おそらくそれは日の丸を背負っているといったような「宿命」として自分をとらえる、“みんなの中の自分ということへの自覚と責任”というのが、芽生えてくるのだと思います!
その自覚と責任がさらに、自分自身を成長へ向かわせる、そこには「生かされている自分」という境地になるのではないかと、なってもいない私ですが、インタビューなどを聞きながら感じていることです!
会社には“経営理念”というものが掲げられている会社が多いです!
「理念」とは“こうあるべきという根本にあるもの”という意味とされています
なので、それは普遍的なものと思いがちですが、私はこの理念も常に高め続けることが必要なのではないかと思うようになりました!
文字通り「念じる理」ですから、念じ続けることによって“理”は高まっていくのだと思います
ソフトバンクの孫正義社長がまだ若い駆け出しの頃に私の尊敬する経営学者の野田一夫氏に言われたことを今でも鮮明に覚えてその教えを大事にしているそうです!
それは
「孫君、君は志と夢の違いがわかるか?」と質問され、うまく答えられないところに
「夢というのは漠然とした個人の願望、車が買いたい、家を持ちたいといった夢はみんな個々人の未来への願望、でもその個々人の願望をはるかに超えて多くの人の夢、多くの人々の願望をかなえてやろうじゃないか!いう気概を”志“というのだ!夢は快い願望だが、志は厳しい未来への挑戦だ!だから夢と志ではまったく次元が違うんだ! 君は夢を追うなんて程度の男になってはいかん!志を高くもて”」
言われ当時の孫青年は衝撃を受けたそうです!
もはや志を持つ者は、「自分」ではない!誰か、や、何かを背負ってる、そしてその誰かや何かの幸福こそが自分の使命であり宿命であり、それが自分の幸福へというように成り代わっている(戻ってくる)のだと思います!
これは、言うは易し、やるは(果てしなく)難しです!
私は13年前会社を始めました!
なんで始めたのか? 今思えば、「志」などありませんした
商売がしたい! 自分でやってみたい! 自分の力がビジネスの社会でどう通じるのか挑戦してみたい! 店をつくって支持されたい(流行らせたい)! すごい人っていわれてみたい!
すべて「自分のため」です、「自利」です!
もちろんそこに何か社会に貢献したい! 人々が幸せになるようにしたい!という気持ちがあ
ったことも事実です!
事実ですが、それも社会に貢献している(つもりの)自分に酔っているに過ぎなかったような気がします!
それは「志」でもなんでもありません!
しかし立派な経営者の軌跡を本などで読んでも、最初からとてつもない志を持っていた人はそんないないこともわかりました!
経営をしていくことを通じて、志を持つようになったり、高まったりしてきているのだと感じます。つまり理念を高める行為をしているのだと思いました!
そして使命感が次第に強くなっていくのだと思います
とはいえ、それとて勝手に高まるわけでもありません
自分を磨くことで、利他の精神が高まっていくのだと思います
宗教チックな話になっていますが、それはスポーツの世界でも文化の世界でも、はたまたビジネスの世界でも一緒のような気がします!
日本生命のCMで今回のオリンピックで金メダルを獲った体操の内村航平選手のお母さんとの対話編というのがゆずの曲をバックに流されていました
わずか15秒程度のCMですが何か感動してしまいました!
それは
「北京で2位に終わった僕に母はこんな言葉をかけた」
「銀は金より良いってかくのよ!」
「ありがとう母さん」
「恩返しはロンドンでします」
http://www.youtube.com/watch?v=cXICFRi38qo
「おかげ様で!」といえる境地はどんな世界においても一流のアスリートなのではないでしょうか?
私はビジネスの世界に身をおいていますが、私も一流の“経営者=アスリート”になるべく、理念を高め続け、志を立てることで「おかげ様」ときちんと言える、そして使命感を持った経営者になると強く決意した次第です!